リネンのお手入れ
リネンはとても丈夫です。
すこしくらいの多用にへこたれないだけの耐久性が備わっています。が、そこでちょっとだけ気を付けることによって、さらに長く快適に使い続けることができます。
手にしたばかりで、なんとなく他の布とは感じが違うというのはわかるんだけど、どう扱ったらいいのでしょう…そんな方の素朴な戸惑いにもヒントになるようにわかりやすく、リネンとの接し方の一例をご紹介します。
ほこりが出ず、毛羽立ちしにくいリネン

食器を拭いたときに、キッチンタオルの繊維がお皿の表面に残らない… なにより清潔な空間にしておきたいキッチン回りに、リネン製のふきんが適しているのには、こうした理由もあります。
リネンはフラックス の短い繊維が密に絡まって形造られています。そのため、綿などの長い繊維のように引っ張られて抜け落ちていくことが少なく、大量のホコリ やハウスダスト の発生源となることがありません。さらにリネンには、水を吸うと縦横に縮みながらさらに丈夫になるという特徴があるため、水分をたっぷり含んでいる洗い立てのお皿を拭いた時でも、布が受けるダメージというのはそれほど大きくありません。それでいて細かい繊維が残ることもなく、食器類を衛生的にとてもきれいな状態に保つことができます。
亜麻の生地にはこのような性質があるので、ホテルや病院で寝具として積極的に採用されているのも、なんとなく頷けます。
布団、それから一般的な綿でできた布団カバーから出るホコリは、気づきにくいかもしれませんが、とても多量で、かつ広範囲に散らばってしまうものです。
これらはそのままハウスダストとなって呼吸器系や皮膚系に直接影響するため、できることなら少しでも少なくしたいもの。最近ではほこりの出にくい布団や、特殊な加工を施して埃の発生を抑えたベッドカバーが提案されるようになってきました。そのような製品を試してみてもいいのですが、もっとシンプルに、ベッドカバーをリネン素材のものに変えてみるだけでもよいでしょう。ホコリの出が、ぐっと減っていくのが分かると思います。
リネンそのものはホコリをあまり発生させませんし、布団から出てくる埃はリネンの短く複雑な繊維が内側で閉じ込めてくれるというわけです。
いくら掃除してもどんどん溜まる各所のほこり汚れに辟易している方だけでなく、長い睡眠時間中にのどを痛めがちなデリケートな体質の方にも、リネン素材の寝具はいくらかでも助けになれるかもしれません。
乾きやすさの秘密は、繊維の構造と「ペクチン」
湿った夏場でも、干してから数時間であっという間に乾くリネン。
その秘密は繊維のカタチ にあります。リネンの繊維は円筒状をしており、中は中空でいくつもの穴や亀裂があり、それが鎖のように連鎖して繋がった構造になっています。この至る所にある隙間が、水分を急速に吸い込んでいきます。
また、繊維の表面はペクチン という撥水性の物質でコーティングされています。この性質によって、繊維そのものの内部まで水や汚れが浸透するのを防いでいます。
結果として、このような性質によって、水分をとてもよく吸い込みながらも乾きやすく、汚れもよく落ちて、リネンの表面はさらっとしたままなのです。
※ペクチン は熱に弱く、高温に触れると落ちてしまいます。長く快適に使い続けるためにも、洗濯の際には熱湯は使わずぬるま湯で、アイロンも中温程度に設定してあてるのをお薦めします。
色素は落ちやすく、より自然な色に
染色されたリネンは、水洗いを重ねるごとに、少しつづ色が落ちていきます。
そうして生成りに近い色合いに近づいてゆくわけですが、色の濃いリネンの洗濯時、買いたての始めのうちは他の衣服への色移りに注意が必要です。
色の落ちる早さは生地や染色の状態によってまちまちなものの、少しづつリネン本来の色に戻ってゆくのをふと実感するとき、いつの間にか垢抜けていた表情のリネンに出会って楽しくなります。
吸いやすく、乾きやすい
水分をよく吸収し、また乾きやすいリネン。じめじめとした夏場や梅雨時でも早く乾き、それゆえイヤなにおいも残らず、清潔です。
吸水性、吸湿性が高いため、水をよく使う台所回り、お風呂回りと相性が良く、キッチンタオルやバスタオルとしてとても重宝します。濡れても数時間で乾くので、食事時や入浴時に毎回使えます。
寝ている時に身体から発散される汗などの水分もよく吸い取り、防菌、防カビ性にも優れているため、衛生的な環境を必要とするホテルや病院などで寝具のカバーとしても広く用いられています。
同じ理由から、衣服の素材にも適しています。汗で濡れた生地が皮膚に張り付く不快感が無いので、リネンで作られた下着やシャツには清涼感があります。
10年以上、いつまでも快適に使えるリネン
リネンはとても丈夫です。
単に丈夫なだけでなく、使えば使うほど柔らかくなり、素肌によくなじみ、心地よい風合いを増していきます。
そうして数年、十数年と、あるいは一生付き合っていける素材でもあります。
リネンは、ものによってはとても高価です。小さなハンカチでも数千円、ベッドカバーの高いものだと数万円になるものも。
一方で、手を出せそうなリーズナブルなものもあります。安いから長持ちしない、ということはなく、基本的に素材も造りもしっかりしたものがほとんど。気軽に買った分、気兼ねなく使い込み、どんどん豊かな風合いが引き出されて、やがて価格の高低など問題ではないほど、個性的で素敵なリネンになってゆきます。
シワのできやすいリネン
リネンには、天然繊維のためにしわになりやすい性質 があります。
一般的にシワ というとあまり作りたくないイメージがありますが、リネンのシワ はとても自然で爽やかな風合い があり、リネン固有の持ち味 として親しまれています。同じ100%ピュアリネン でも、製品によってシワ のつき方、なりやすさが異なり、その違いを楽しめると思います。
どうしてもシワ が気になるときは、アイロン をあてるとよいでしょう。洗濯直後の湿った状態、または半乾きのときに、宛て布をしてアイロン をあてます。温度は中温 にして、手早くあてます。
(※アイロンの注意書きによっては「麻=高温」とアドバイスしているものもありますが、リネンに対しては温度が高すぎることがあります。あまり高温ですとリネンの滑らかさと光沢の成分である「ペクチン 」がこわされてしまい、傷み や毛羽立ち の原因になってしまいますので、中温、または中温以下に設定するとよいでしょう。)
使い込まれたリネンは柔らかい
リネンは使い続けることで繊維がより柔らかくなり、私たちの肌に馴染んできます。
買ったばかりのリネンはなんとなく硬く感じると思いますが、幾度かの使用と洗濯を繰り返していくうちに手触りは変わってゆき、やがてそれがリネンの「味」になっていきます。
どうしても初めから柔らかく、使いやすいリネンがほしい、というときには、他の繊維素材を混紡 したハーフリネン が良いでしょう。
たとえばリネン50% +綿50% のハーフリネン などは初めから柔軟な質感を持つものが多いです。しかもリネンの速乾性も備えています。ふたつの素材のいいとこどりというわけですね。
一方でやはり、リネン100% のピュアリネン には使い込むほどに愛着が湧いてきて、自分好みに「育てて」いく楽しみも生まれてきます。すっかり垢抜けて柔らかくなったピュアリネン には、他には代えがたい独特の魅力があります。
リネンのお手入れの仕方
リネンはとても丈夫で、天然繊維の中でも最も強度の高い生地です。そのため、普通の洗濯機で何度洗濯してもOK。むしろ洗えば洗うほどに柔らかさが増してきて、肌になじんできます。
・洗剤は普通の中性洗剤 、または弱アルカリ性洗剤 を使います。ただし、漂白剤 ・蛍光増白剤 を含む洗剤はリネンの繊維を傷つけてしまうので、使用しないほうがよいでしょう。
・洗濯水は冷水 またはぬるま湯 にします。60度以上の温水は、リネンに含まれるペクチン という柔らかさの成分をこわしてしまうので使わないようにします。
・リネンはとても汚れが落ちやすいですが、色もよく落ちます。そのため、濃い色のリネンを洗う時には色移りが気になる白物と分けて入れることをお薦めします。
・洗ったあとは陰干し します。とても早く乾くので、すぐにまた使えます。
・取り扱いラベルがついている商品の場合は、その表示に沿って取り扱ったほうがよいでしょう。
